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紅花染め

  紅(くれない)の花にしあらば衣手に染めつけ持ちて行くべく思ほゆ
                                             万葉集 巻一

紅花は、エチオピア~エジプト辺りが原産の二年草です。
シルクロードを渡り、紀元前二、三世紀頃に中国にもたらされたといわれています。
中国の三国時代、魏・呉・蜀の地域の名を踏襲していた、五世紀頃の日本に紅花が伝わりました。
そのころ紅花は、中国で紅藍と呼び表されていました。紅は赤を意味し、藍は染料のことです。
揚子江流域の呉の国から渡来した染料ということで「呉藍」と呼び、それが訛って「くれない」になりました。
万葉集でも歌われているように、紅花染めは古代の人々に愛されました。

以来、平安時代には源氏物語の「末摘花」の巻があるように、、
江戸時代には最上川流域が一大産地となり、使いやすいように加工された紅餅が都へと運ばれるようになるほど、人々の心を惹きつけている染料です。

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紅花のトゲが朝露に濡れてやわらかいうちに花びらだけを摘み取るそうです。
その花びらをいただいて染めました。ほんとは寒い時期がいいと聞きます、、。

紅花は、黄色と赤色の色素を持っています。
水に溶ける黄色の色素を取り出すことからはじめます。 
茶色く濃い染液が取れます。そして、黄色がでなくなるまでよくよく洗います。(黄水洗い)
洗っていると、手肌がふっくら柔らかくなりました。^^
花びらが染液に残らないように濾します。黄色の染液の出来あがりです。

次に、藁灰の灰汁は手に入らなかったので、炭酸カリでアルカリ性にした溶液のなかで赤色を取り出します。
時間をかけてゆっくり揉んでいるうちに黄色味の赤い染液が出てきます。(このときは手袋が必要です。)
アルカリのときに解き放たれ、酸性のときに吸着される性質を持っています。
染液を濾したら、赤色の染液の出来あがりです。

染めるために、いったん酸を加えて中性の液にします。
35~40度にした赤い染液のなかを、ゆっくりと手繰るように染めます。
40度を越すと色素が壊れてしまうので注意します。
ぐいっと赤が繊維のなかに染み入ります。
しばらくして色の入り方を見ながら酸を足します。すると、がんばってくれます。
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水洗いをして、染まっていない色素を洗い流します。
最後に、酸性の液のなかで定着させると色が冴えます。

もう一度、水洗いをして陰干しします。
澄んだやわらかな紅色をいただきました。
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紅花のいろんな話に耳を傾けるように、じっくり染めました。
美しい色を、ありがとうございます。





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